Anovaで作るテキサス風塊肉バーベキュー
夫、以前出張で食べてきたあの肉が食べたいと言う。
私と長男、次男のお気に入り動画、Days of Gluttony(以下DOG)で見たあの肉が食べたい。
作るか。スモーキーなバーべキュー。
まず、ここでいうところのバーベキューの定義から
網焼きの焼肉ではありません。
塊肉のスモークです。塊のままでは硬い部位を弱火で長時間燻すことで、外は丸焦げに見えるがつついたら崩れるほどに柔らかく仕上げるという料理法です。「何時間スモーク?」「12時間」「オォー」みたいなことをやる世界のようです。(DOGより)
テキサスが発祥の地、本場と言われるようですが、全米どこでもメジャーな料理となっているようです。(同じくDOGより。どこ行っても彼ら、バーベキューを食べている。
使う塊肉は、代表的なものに、
・豚のベイビーバックリブー骨つきで形はスペアリブに似ているが小さく(だからベイビー)、スペアリブより赤身が多い。日本にはないカット方式で、日本では骨を外してロース肉にする部分。
・牛のブリスケットー日本だと肩バラ、カルビになるところ。
があります。その他牛のスペアリブや鶏の骨つき肉もあるようです。
これらやや硬い部位の肉を低温で火入れすることで柔らかくなるというのには、同じ肉の中に数種類存在するたんぱく質の変性温度に理由があります。
興味のある方はこれに細かく触れるような本がいくつか出ているます。私はO'Reillyから出ているCooking for Geeksが好きです。
たんぱく質の変性温度、ざっくり言うと、本書中の「ミオシンの変性(50℃)はおいしいが、アクチンの変性(73℃)はまずい」に尽きます。
バーベキューについては、十分な時間があれば低温でも変性するコラーゲンの変性もおいしい、を付け足したいと思います。
しかしここで問題が出てきます。 我が家には長時間スモークをかけるためのスモーカーは、ない。
しかし私、夫から「しょうもないものを見つけてくる天才」と呼ばれてましてね。我が家にはすでに代用品がありました。
スモーカーを使わずバーベキューらしきものを作るための道具と材料
◎低温で長時間加熱→Anova Culinary。
低温調理器です。以前はヨーグルトメーカーで低温調理をしていてそれも良かったのだけど、容量的に限界でこちらを採用。
水を張ったウォーターバスに材料とこちらをセット、専用アプリからレシピを出し、BluetoothやWi-Fiで機械を制御して加熱する、あるいは手動で温度を設定して任意の時間加熱して使います。
1年ほど使っていますが、楽しいです。好みの味のサラダチキンが量産できます。チャーシュー崩れない。ステーキやローストビーフの焼き加減、もう温度計や金串の抜き差しに頼らなくていい。卵などからがあるものでなければ真空パックまたはジップロックに空気を抜いて入れてから加熱します。
当時amazon.comから買う方が安かったのでこちらを買いました。
私が買った時はまだWi-Fi接続できるものは出ておらず、Bluetooth接続のもののみでした。
今もまあこちらから買う方がお得ですね。
amazon.co.jpの方にももちろんあります。
◎燻す→燻製風味調味料
狭い我が家です。フライパンで燻製することはありますが、大きな肉を燻製するとなるとしんどい。
スモークリキッドを使います。
まあ燻液みたいなものなんでしょうね。これがあればフライパンではむずかしい冷燻もできます。私は酸味などのカドのない香りの桜が好きです。
材料も揃ったところで下調べ
バーベキュー、これAnovaでできるやろとAnovaアプリでレシピを検索してみたら、まさにそれがありました。それもたくさん。
しかしCooking for Geeksの読者的にはどのレシピも温度が高めなのでは、60℃台でも柔らかくなるはず、と、Sous vide ribs temperatureで検索。そうするとまさにAnovaのレシピ作製者の方が気力と肉への愛に満ちた実験をやってらっしゃいました。
リンク先は英語ですが、各温度、時間で調理したリブを比較する写真がずらりと並ぶ様は壮観です。
どうやら少々温度が高いほうが良いようです。やはり筋のある部分は煮込みに近いくらいの温度が早いということでしょうか。というわけで74℃で作ってみましたが、水分が抜けている感じは否めません。
そこでこちらのレシピを試しました。
recipes.anovaculinary.com
74℃よりわずかにジューシーではありますが、ほぐれる感じが今ひとつ。
ならば、と自分で温度と時間を探すことに。
前置きが長くなりました。作り方です
工程はざっくり4つ。
1.お肉の下処理
2.お肉にドライラブと呼ばれる混合調味料を擦り込む
3.低温調理
4.バーベキューソースを塗ってグリル等で炙り焼き
お肉は、ネットでバックリブと検索すれば販売店が見つかります。
できれば1ブロック1kg以上のものが食べ応えがあっておすすめです。
バーベキューソースは既成のものも色々とありますが、混合調味料、ドライラブは見たことがないので自分で作ります。市販のスパイス類を混ぜるだけの簡単なものです。
下に配合を記します。
自家製バーベキューソースの作り方についても下に。
以下写真を載せたりなどしますが、何度か作って適当に撮っていたものの寄せ集めのため、お肉の大きさや道具にはばらつきがあります。
分量がすべて適量となっていますが、つまりは細かいことを気にしなくてもそんなに失敗しない料理です。
ドライラブ 適量
この白い、ピカッとしたところが薄皮です。この下には薄く脂肪がついています。
バーベキューソースにさらに浸して食べるのがおすすめ。
ドライラブ
低温調理のためのドライラブの配合です。
どうしても水気が出てきて味が薄まるので、少し塩気を強めに作っています。
まぶしてそのまま焼くという用途なら、塩を3、4割ほど引いて試してみてください。その場合でも量を控えめに使うなら、このままでも大丈夫。
パプリカは、スモークパプリカで是非。香りと旨味がぐっと増します。
さらにお好みでタイムやオレガノを足すと洒落ますが、必須ではありません。
私は胡椒は5gくらい使うのが好きですが、夫は2、3gくらいが好きなようです。
スモークパプリカ 10g
塩 10g
きび砂糖または黒糖 10g
オニオンパウダー 6g
チリパウダー 3g(なくても可)
胡椒 3g
クミン 1g(なくても可)
以上の材料を小瓶に入れて振って混ぜます。
バーベキューソース
500mlの保存瓶ひとつと、作った後にちょっと使えるくらいの量ができます。
チリパウダーに関してはお好みです。
サラダ油はなくてもかまいませんが、これを入れるとバーベキューに使ったとき照りがよく出たり、つけだれとする場合は酸味や塩気がマイルドに感じられると思います。
このバーベキューのお肉が半端に余ったとき、ほぐしたお肉とこのソースを使って炒めご飯を作ると子供が喜びます。
チリパウダー 0~6g(辛いのじゃなくて、混合スパイスの方)
スモークパプリカ 10g
きび砂糖 20g
濃口醤油 30g
中濃ソース 60g
作り方:
次男の好きな動画についてもういちど
これですね。
サンフランシスコ在住のHarryとBruceがアメリカ、カナダの都市をめぐり、ときにゲストを迎えながら24時間で24軒のお店をはしごして食い倒れる動画。YoutubeのTasetemadeというチャンネルというのかな、で配信されています。
テンポ、音楽、映像のセンスがよく、子供達も見ていて飽きないらしい。
全部食べるのが決まり!と最初に言っていたものの、さすがに24軒すべてで完食してはいないような感じはします。(1回目は頑張った感じがあります)でもどこに行っても楽しそうな彼らを見ているととても楽しい。
シーズン1を撮り終えてからかなり経っているし、予算的にも体力的にもハードな撮影だとは思うのだけど、続編が出たら我が家めっちゃ嬉しいなぁという作品です。
なお、DOG以外にも、アメリカとヨーロッパの人気レストランを巡るOff Menu、全米各地のアメフトの試合会場でその土地のシェフとともにバーベキュー屋台を出すGrill Iron、その他アジア含め世界中を巡る食の旅にあふれるTasetemadeの各シリーズに食いしん坊な我が家は大いに楽しませてもらっています。
おすすめです。